ソラマメブログ

  
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2010年07月26日

若いとは

うだるような暑さの中、半分溶けかけて歩いていた。
そういうスライム状態のおれの前に男子中学生と見られる
三人組が現れました。
いかにもイマドキという風貌の子らで、オシャレにも気を使って
いる様子。
最近の子らはスタイルも良くてすらっとしたモデル体型。
スライム状のオッサンの俺とは全くといっていいほど違いがあり
同じ生物とは思えません。

信号待ちが同じになり、彼らはこの暑い中に爽やかな会話を
始めました。

中学生A「お前、まだ童貞やろ? この夏どないすんねん?」
中学生B「海は行きたいよな~、昨日美容院行ってきてん」
中学生C「そうなんや?いくらしたん?」
中学生B「4200円やで。シャンプーなし価格で」
中学生A「やっすー。おれなんかこれで5400円やで
      お前のん床屋ちゃうん? くっさいわー」

・・・おれなんか980円のくっさい床屋やで・・・。
  さすがゆとり教育! 
  ちなみにAはどうか知らんが、BとCは童貞のような口ぶりだ。

こういう会話のやりとりが続いた中
ふと中学生Cが高い声をしぼり出した。

中学生C「あー!おれ、幽霊でもええからセックスしてぇ~~!!」

その声は通り過ぎるトラックの音さえ打ち消すようだった。

中学生A「お前、アホやなたまりすぎやな」
中学生B「でも幽霊ってXXXないんちゃうん? あれ?
      幽霊がないんって足やったっけ?」

・・・どっちでもええがな。幽霊やで。

中学生A「あってもなくても幽霊やで? キモいやん」
中学生C「美人な幽霊限定やで」
中学生B「美人でも幽霊は幽霊やろ? お前キモすぎるわー」
中学生A「とりつかれたら死ぬやん」
中学生C「気持ち良かったらええねん。 あ、でも幽霊やったら入ってるとこ
      見えるんやろか?」
中学生A「見えへんかったら、自分のんだけ見えるんやろ?
      イくときなんか見えるから間抜けやでー」
中学生C「ええねんハメ撮りしたるねん」
中学生B「でも幽霊おるときって金縛りなるんちゃうん?」
中学生A「そうやで、お前動けんとヤられるままやで?」
中学生C「そうやったなー。おれドSやのに縛りつけたいのにな~
      あー、考えたらムラムラしてきたわー!」

・・・そういう爽やかな会話を残して、中学生達は駅へと消えていった。
  信号待ちをしていたおれはさらに暑さで溶けてしまった・・・。  

Posted by 怪人H at 09:41Comments(2)知的・教養

2010年07月09日

ササノハ

おれは届けるべきブツを持って徘徊していた。
そして雨の降りしきる中、朦朧とした意識の中で
巨大建造物へとたどり着いた。
どうやら数百名が共同体として暮らしているらしき
十階建ての建物へと足を踏み入れた。
入り口にはロックが掛かっている。
セキュリティーシステムも万全な危険な建物だ。
事前に聞いていた暗証番号をおれは入れた。
語呂合わせにするのも恥ずかしいその番号を赤面しながら
おれは入れた。
正直、心の中では泣いていた・・・。

急激なゲリラ豪雨にその身を貫かれ、もう立っているのも
やっとというような足取りで八階へと向かった。
しかし、届けるべきブツは既に豪雨の餌食となり、おれは
死を覚悟しながら扉を叩いた。

しかし・・・、どうやら受取人は不在のようだった。
「畜生!指定された時間に危険を潜り抜けて来たのに
 この仕打ち。神は我を見放したのか!?」
おれは自問自答し、その場に崩れ落ちた。
だが、途切れ途切れになる意識の中でもそのブツを持って
帰らなければ任務終了とはならない。
悔し涙と鼻水を垂れ流すのをおれは気にしている余裕もなかった。
そして建造物の入り口付近までなんとか辿り着いた。

ふと上を見上げると、笹があるではないか。
そうか・・・七夕が近いのか。
そういえば昔、おれも七夕には短冊に願いを・・・。
そう思いつつ
目の前で輝くように揺れている短冊達に、祈るような思いで
かつ薄れ行く意識の中で眺めた。

「サッカー選手になりたい!」
W杯が開催されているもんな。
「将来はプリキュアになりたいです」
これを書いたのはいたいけな女の子に違いない。
「カレーを腹いっぱい食いたい!」
これを書いたのはいたいけなキレンジャーに違いない。

その中でふとひとつの短冊が目についた・・・。
そこにはカタカナで小さくか細いフォントでこう綴られていた・・・。

「スミマセン」

おれはやっとのことで保っていた、最後の意識が遠退いていくのを
感じた・・・。  

Posted by 怪人H at 06:58Comments(0)